高齢者消除と相続

相続が開始する原因と高齢者消除について説明します。

相続が開始する原因は、①被相続人の死亡と、②被相続人の失踪宣告です。
死亡と失踪宣告は被相続人の戸籍を調査することによって明らかになりますが、ここで注意を要するのは、高齢者消除と呼ばれるものです。

高齢者消除とは、所在不明の100歳以上の高齢者について、死亡が確認されていなくても一定の条件を満たせば、その戸籍を消すことが認められる制度です。
あくまで戸籍の整理のため認められている制度なので、相続は開始しません
コンピュータ化された戸籍であれば【高齢者消除】と記載されていますが、紙の戸籍(縦書きの戸籍)の場合、「高齢者につき死亡と認定」(時代により記載内容が相違)と記載されるなど相続が開始する死亡の記載と間違いやすいので、古い戸籍を調査するときは注意が必要です。

民 法

【第882条】相続は、死亡によって開始する。
【第30条第1項】不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
【第31条】前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。